アップルのケチり、ではなかった。「8GBしか選べない」理由は、チップの製造技術そのものにある。
3月5日に発売が発表されたMacBook Neo(日本価格9万9800円〜)。他のMacが最低16GBのメモリを積む中、このモデルだけ8GB固定でアップグレード不可という仕様が批判を浴びている。だが実態は、意図的なコストカットというより、チップ設計の根本的な制約だった。
メモリはチップの”上に載っている”
MacBook NeoのA18 Proは、TSMCの「InFO-PoP(Integrated Fan-Out Package on Package)」技術で製造されており、8GBのLPDDR5Xメモリがチップダイの真上に直接積層された3次元パッケージ構造になっている。
つまり、メモリはマザーボード上に別パーツとして存在するのではなく、SoC(チップ)と物理的に一体化した単一パッケージとして出荷される。このパッケージ構造により、基板上に100mm²以上を占めるLPDDR5Xモジュールが不要になり、PCBの小型化とコスト削減が実現する。裏を返せば、MacBook Neoのメモリ容量はA18 Proがパッケージングされた時点で決まっており、変更はほぼ不可能だ。
「A19 Proにすれば12GBだった」という指摘も
X(旧Twitter)上ではMax WeinbachやHigh Yieldといったアナリストが、もしアップルが次世代A19 Proを採用していれば12GBを搭載できたと指摘している。ただし、製品の設計から部品調達までには数ヶ月〜数年かかるため、A19 Proへの切り替えは現実的ではなかった。加えて、現在のDRAM不足により12GB LPDDR5X 1ユニットのコストは70ドル(約1万500円)にまで高騰しており、それを採用すれば599ドルという価格設定は成立しなかったとされる。
「ケチり」より「設計の割り切り」
iPhoneとMacのチップ基盤を共通化することで製造コストを下げる。この5年越しの戦略の果実がMacBook Neoだ。そのトレードオフとして、iPhoneと同じパッケージのまま搭載されたメモリは8GBで固定される。悪意ある制限ではなく、アーキテクチャ上の必然である。日常用途には十分な性能を発揮するが、長期利用や重い作業を想定するなら、最初からMacBook Airを選ぶのが賢明だろう。
